聖書 詩編90編1~17節
ルカによる福音書2章25~32節
説教題 「今や恵みの時」
「朝にはあなたの慈しみに満ち足らせ 生涯、喜び歌い、喜び祝わせてください。」(14)
昔の人でも七十年から八十年くらい生きられたようですが、得るところは労苦と災いにすぎない(10)と詩人は申します。朝が来れば花を咲かせ、やがて移ろい 夕べにはしおれ、枯れて行く(6)ように、人生は瞬く間に終わります。人は神に罪を犯して、神の怒りを招いたからです。
ところが神の怒りを招いたにもかかわらず、神を宿るところ(1)とさせていただけました。神のもとに留まることが赦されています。ですから生涯の日を正しく数えて(12)、死を受け入れられるようにしてください、と祈るのです。それどころか、「あなたの慈しみに満ち足らせてください」とさえ願い求めます。神は怒るだけのお方ではなくて、慈しみ深いお方でもあられると信じているのです。
詩人の願いはのちに叶えられました。老人シメオンは幼い主イエスにお目にかかり、救いを見たゆえに「この僕を安らかに去らせてくださいます」(2:29)と語っています。安心して死を迎えます。人生は瞬く間に過ぎて行きますが、神の慈しみによって救い主を見ることが叶えられたとき、喜びの内に人生を終えられます。