聖書 エレミヤ書1章4~10節
ローマの信徒への手紙11章1~6節
説教題 「神に知られて」
「わたしはあなたを母の胎内に造る前から、あなたを知っていた。」(5)
神はエレミヤに、「私はあなたを母の胎内に造る前から、あなたを知っていた」と、お語りになります。人を母の胎内にお造りになるところから命が始まりますが、神はここで、命が存在するより前から、「あなたを知っていた」とおっしゃる。人が母の胎の中で存在すらしてないのに、神はすでに知っていたと言われます。神がお造りになるからです。神にとっては、「知っている」というのは、実際に存在するかどうかとは関係ありません。まだ世に存在しないものさえ、神はご自分の御心に適うものとして認めておられます。そして、ご自身の目的に合うように、神は命をこの世に造り出されます。
それで「知る」という言葉を、聖書のほかの箇所では、「選ぶ」と訳す場合があります。今日の箇所でも神は、エレミヤを母の胎内に造る前から選んでおられ、ご自分にとって特別な存在と見なしておられたのが分かります。それは、エレミヤをお造りになる前からのことで、神は姿や才能と関係なく、一人の人間そのものを選んでおられます。神はその人の存在を全面的に肯定しておられます。「知っていた」という言葉には、存在そのものを肯定する意味も込められています。