聖書 詩編16編1~11節
    使徒言行録2章29~32節
説教題 「主のほかに幸いなし」
「あなたはわたしの魂を陰府に渡すことなく あなたの慈しみに生きる者に墓穴を見させず 命の道を教えてくださいます。」(10~11)
  旧約時代の人たちは、死んだら「陰府」に行くと思ってきました。「陰府」は地下深くにあるので神との関係が断たれてしまうと恐れました。生きている間は、主が共におられる、と信頼してきたのに、死んだ途端に陰府に行かされて、主との関係が途絶えてしまうわけです。
  ところが詩人は「主は私の魂を陰府に渡すことがない」と申します。旧約時代の人たちが死を恐れてきたのと違います。死に対する考え方が違うのです。主は「自分の右にいます」(8)から自分が死に臨んでも見放すことはない、と詩人は信じていたからだと思います。主を「避けどころ」(1)とする自分が、主との関係を断たれてしまうことはあり得ない、と信じていたのです。主は恵みを与え、守ってくださるお方だから、死から命に通じる「命の道」を備えておられるはずだ、と。
  使徒ペトロは聖霊が降った直後の説教でこの詩編を引用して、キリストの復活を予告していた、と語りました(使2:31)。キリストは復活させられ、「命の道」を拓いて父のもとに行かれました。私たちに「命の道」を教えてくださったのです。