聖書 詩編51編1~21節
    ローマの信徒への手紙3章21~26節
説教題 「砕かれた者たち」
「神よ、わたしを憐れんでください 御慈しみをもって。深い御憐れみをもって 背きの罪をぬぐってください。」(3)
  詩人は神に向かって、「あなたに、あなたのみにわたしは罪を犯した」(6)と神への罪を告白しています。しかも自分が罪を犯したのは最近のことではなくて、「母がわたしを身ごもったときから」(7)です。つまり自分という存在そのものが罪の塊だと言うわけです。
  そういう人が「憐れんでください」と神に憐れみを求めて祈っているのは、神が憐れみ深い方だと知らされていたからです。逆説的な言い方になりますが、罪を告白するということ自体が、神の恵みのもとにあることを示しているように思います。罪人に恵みが与えられているのです。
  恵みによって自分という罪の塊が「あなた(神)によって砕かれ」(10)たときに罪は赦されます。すなわち謙虚になって神に従えるようになります。それまでの罪人ではないあり方に変えられて、神と共に歩む、人間本来のあり方が回復されます。これは私たちが為しうるものではなくて、ひとえに神の憐れみにかかっています。憐れみ深い神は「キリストを立て…罪を償う供え物となさいました」(ロマ3:25)。